社会保険完備とは?またそのメリットとは?
社会保険完備とは?
社会保険完備の意味は、社会保険の健康保険、労災保険、厚生年金保険、雇用保険の全部に入れることです。
20歳以上の日本に住んで一定の条件をクリヤーして仕事をする人は、社会保険に入れます。
特に、正職員は本人の意思に関係なく必ず社会保険に入る必要があります。
現在は、アルバイト・パートも次のような条件に該当するときは社会保険に入れます。
- 1週間に20時間以上の労働時間になる
- 1ヶ月に88,000円以上の決まった賃金がある
- 雇用期間が1年以上見込める
- 学生ではない
- 501人以上の従業員の会社あるいは500人以下の従業員の会社で仕事をしており、労使間で社会保険に入ることを合意している
社会保険完備の会社で保険に入れば、もらえる年金が多くなり、会社が半分の保険料を負担してくれます。
給料から保険料は天引きされるので損している感じがするでしょうが、天引きしないときは自分で年金保険と医療保険を全額支払う必要があるため、入っておく方がお得です。
社会保険完備のメリットとは?
ここでは、社会保険完備のメリットについてご紹介します。
正社員だけでなく、アルバイト・パート、派遣社員でも、このメリットはあります。
厚生年金と健康保険の保険料の負担が半分になる
基本的に厚生年金と健康保険の保険料は雇用者と労働者で折半するので、個人で入るときの半分の保険料になります。
このことが、最も社会保険完備の大きなメリットでしょう。
手厚い保障がある
健康保険に入ると、自分の医療費の負担が少なくなるだけでなく、次のような手厚い保障があります。
- 傷病手当金
- 出産手当金
- 家族出産育児一時金・出産育児一時金
業務外の事由による怪我や病気で療養するために、連続する3日間を含む4日間以上仕事ができなかったときは、最長で1年6ヶ月間支給されるものです。
被保険者自身が出産して休職した期間に、給与が支払われなかったときに支給されるものです。
出産した日の42日前~出産した次の日から56日目までの期間で、仕事ができなかった日数が対象になります。
被保険者あるいは被扶養者が出産したときに、42万円が一児について支給されます。
将来の年金受給額が多くなる
厚生年金に入ると、国民年金の基礎年金にプラスして厚生年金が支給されるので、将来の年金支給額が多くなります。
平成29年度では、厚生年金の月額の平均は14万7,000円で、国民年金の月額の平均は約5万6,000円であり、この違いは約2.6倍もあります。
厚生年金は定年退職するまでの収入によって非常に支給額が違ってきますが、国民年金だけに比較して、年金を相当多くもらうことができます。
社会保険に入ると将来の年金額が多くなる
社会保険に入ると、厚生年金や健康保険の保険料を給料から天引きされるので、その分手取り額が少なくなります。
そのため、一見すると手取り額が少なくなるので損するような感じがします。
しかし、厚生年金と健康保険の保険料は半分を会社が負担してくれるため、高い保険料を支払う分、国民年金と国民健康保険に自分で入るよりも、将来もらえる年金額が多くなります。
年金額が多くなるメリットは、将来年金がもらえるようになってから体感できるようになりますが、先々のことを考えれば社会保険完備の会社を選択する方がおすすめといえます。
また、社会保険料は多くなっても収入はアップしていくため、世帯の収入がトータルでアップすることも多くあり、税金額が多くなっても収入はトータル的にアップします。
パート・アルバイトの仕事でも可能な限り長時間、長期間仕事をして収入を獲得したいというときは、社会保険完備の会社の方がお得になることも多くあります。
健康保険と厚生年金だけ入れるときでも社会保険完備になるか?
会社のホームページなどに「社会保険完備」と記載されているにも関わらず、入れるのは健康保険と厚生年金だけのような会社もあるのではないでしょうか。
しかし、このような会社は社会保険完備とはいえません。
社会保険完備というのは、健康保険、労災保険(労働者災害補償保険)、厚生年金保険、雇用保険の全部に入れるということです。
そのため、この会社は労災保険と雇用保険に入れないため、社会保険完備ではありません。
なお、全ての会社は、労働契約書あるいは就業規則などで決められた所定労働時間が20時間以上1週間にあり、しかも31日以上仕事をする見込みがある従業員は、雇用保険に入れさせる必要があります。
また、労災保険(労働者災害補償保険)は、1人でも労働者がいると適用手続きを会社は行う必要があります。
このようなことから、この会社は労災保険に入れないため、法律上の義務を果たしていない恐れがあります。